はじめてのインバウンド

中国の最新トレンドやビジネス事情を発信するブログ「はじめてのインバウンド」。中国インバウンド事業に従事する2人の営業マン道明と片倉が、インバウンドビジネスに役立つ情報をお届けします。

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中国を5年離れただけで浦島太郎に。新文化がハイスピードで定着する中国

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中国の最新トレンドやビジネス事情を、中国インバウンド事業に従事する2人の営業マンが発信する「はじめてのインバウンド」。第三回目は、片倉と道明が働くオフィスの真隣にある「華味一番(かみいちばん)」のオーナー・張 華麟さんを訪ね、中国の電子決済や医療ツーリズムの現状に迫ります。

 

張さん、中国の飲食業界や医療事情を詳しく教えて!

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「東北大拉皮(ダーラーピー)」を神妙な顔で覗き込む片倉(黄)と道明(赤)

中国の山東省で生まれ育った張さんは、大学で専攻していた日本語を本格的に学ぶため訪日を決意。その後日本で就職し、現在は飲食業の他、「医療ツーリズム」の仲介を担うコーディネーターとして活躍している。

 ※医療ツーリズム=海外で医療サービスを受けること

 

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片倉:ねえねえ、中国に詳しい有識者を訪ねるのはいいんだけど、ちょっと物理的な距離が近すぎない?会社から徒歩15秒だし、もう鞄オフィスに置いてきちゃったよ。

道明:いいんです。ここ「華味一番」は、弊社では社員食堂と呼ばれているほど社内で親しまれてますから。まずは身近なところから実直に中国を学んでいきましょう。

片倉:(もっと地方とか行って「やっぱり海の近くで出される魚は新鮮さが違う。なんていうか……魚の身に甘みがありますね」とか言いたかったな。)

 

5年中国を離れただけで浦島太郎状態に陥った

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道明:張さんは、2003年に日本に来たと伺ってますが、中国と日本に違いを感じることってありますか?

張さん:日本に滞在し初めて5年ぶりくらいに中国に帰省したとき、もう中国ではスマホ決済アプリの「Alipay」や「WeChat Pay」がほとんどの店に普及していて、全くついていけなかったですね(笑)。その頃、日本ではまだ電子決済が普及されていなくて。

片倉:たったの5年で浦島太郎状態……。

張さん:中国では店舗が「Alipay」や「WeChat Pay」を導入するハードルが低いんです。店舗が支払う手数料が安いので、負担が少ない。

 

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道明:それぞれ、「Alipay」はアプリ上に現金をチャージ、「WeChat Pay」は紐付けした銀行口座からリアルタイムで現金が引き落とされるシステムだから、店舗側も電子決済で支払ってくれた方が安心できるんですよね。

片倉:支払いをして少し経った後に口座から現金が引き落とされるクレジットカードとは違うんだね。

 

現金を使わないけど「ある意味、現金主義」な中国人

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本場の中華料理が味わえると現地の人からも好評を博す「華味一番」

張さん:中国は一時期、偽札や偽造コインが横行したこともあって、現金への信用度が低くなっているんです。そんな現金への不信感が、電子決済が普及した理由の一つかもしれませんね。 

道明:そう考えたら電子決済上で確実に現金のやり取りをする中国は、ある意味「現金主義」なのかもしれないですね。

片倉:ある意味「現金主義」か。なんかそれ、現代落語にできそうだな。でもさ、店舗が電子決済を使うメリットは分かったけど、ここまでユーザーに浸透したのは何でなんだろう?

 

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道明:確か、今の日本でいう「PayPayの100億円あげちゃうキャンペーン」のように、「Alipay」や「WeChat Pay」も大規模なプロモーションを打ったことから周知されるようになったと認識しています。

片倉:「PayPay」も、今ではだいぶ認知されてきたもんなあ。それにしても10年も前から、もう中国では電子決済が浸透してたなんてすごい。

 道明:そう言えばこの前話した、専用アプリで注文から決済まで一括でできる実店舗「ラッキンコーヒー」の事例、日本のスターバックスも導入したみたいですね。現在は都内56店舗で実施されているみたいです。

 

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「WeChat Pay」のマスコットキャラクターのような片倉

片倉:中国で普及しているシステムを日本でも取り入れることって今後も増えそうだよね。電子決済しかり。

張さん:実際にここ「華味一番」に来る中国の方の9割は電子決済を使っていますよ。特に観光客の方って、現金は現金のみ使用できる店舗で使いたいようなので。

片倉:わざわざまた両替しに行くのも面倒くさいしなあ。

道明:それに中国はクレジットカードの保有率も低いから、電子決済ができないからと言ってクレジットカードを使うケースもあまりないですしね。

 

医療の技術力が高い日本に治療を受けに来る訪日外国人

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張さん:最近では、仕送りまで電子決済で済ますこともあるみたいですね。公共料金や病院の支払いも電子決済で完結しちゃうんです。

道明:病院と言えば、張さんは医療ツーリズムのコーディネーターもされてるんですよね。

張さん:日本は医療の技術力も高いし、がん治療が進んでることもあって、中国人に人気があるんです。治療費が約50〜70万円かかる「がんドック」なども中国人から需要が高いですね。人口が多い中国は資源が限られているので、良質な資源を求めて海外の治療を希望する人が多いんですよ。

 

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片倉:中国から一番近い外国は日本だもんね。

道明:はい。それに、日本から一番近い外国は中国です。

 

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道明:現代は多くの中国の方が日本に治療を受けに来てるのに、電子決済を導入している病院は少ないんですよね。 

張さん:そうですね。ただ、一部の美容整形外科などでは導入しているケースもありますよ。中国の美容整形の口コミサイトを見て日本に美容整形を受けに来る人も多いみたいです。

片倉:ネットの声が行動に反映されてるんですね。

張さん:中国の口コミサイトでは整形前と整形後の写真をユーザーがアップしているので、口コミの信憑性が高いんです。

片倉:整形前の顔も公開するんだ……!

張さん:そこは国民性の違いかもしれないですね(笑)。

 

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およそ2分間の間、「東北大拉皮」の麺がうまく皿に運べず苦戦するも、熱い視線を絶やさない道明

道明:その美容整形外科以外にも、病院で電子決済を導入すれば、事前予約・決済ができるから良質な資源が前もって担保できそうですよね。片倉さん、世界の健康と美は、日本の電子決済普及率にかかっていますよ。

片倉:道明のいつもの拡大解釈はちょっとこわいけど、確かにその一端は担えそうだよね。

張さん:だいぶ私の仕事もスムーズになりますよ。

道明:世界の健康と美と張さんの精神安定は、日本の事前決済普及率にかかっていますよ。

張さん:……そうだね。

 

中国のこと、もっともっと教えて! 

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「フカヒレ姿煮」を一人一皿注文。中国4000年の歴史に感謝したくなる味でした

「華味一番」オーナーの張 華麟さんから、中国の経済感覚の変化や、日本の医療需要を学べた今回。次回以降も「はじめてのインバウンド」では、あらゆる中国事情に詳しい有識者を募集。道明と片倉の心に新しい中国の風を吹かせたい方は、ぜひふるってご応募ください。

 

応募はこちらの問い合わせフォームから。

※「その他の問い合わせ」にチェックを入れ、はじめてのインバウンドで語りたいことを明記しご応募ください。

 

 

協力:華味一番(かみいちばん)

東京都千代田区神田小川町3-11-2 インベリアルお茶の水

050-5595-0948

 

提供:インタセクト・コミュニケーションズ株式会社